耳鳴りの失敗事例
2018年12月13日
最近、ちょっとしくじったなぁと思ったケースがあるので私がどうしくじったのかを紹介してみようと思います。
耳鳴りの相談でこられた方です。
ところが体をみたら耳鳴りがどうとかいう問題ではありませんでした。見るからに心臓がちゃんと動いていませんでした。大きな体格の男性で、別に日々の生活に支障は感じてはいないようでしたけどね。私のみたところ、そう遠からず腰に強い痛みがでて何週間単位でまともに動けなくなるだろうと思えました。
世間じゃ、ぎっぐり腰とか言われている奴です。
ぎっくり腰というのは心臓の動きの問題なんだなんていうのは言ってもまぁほとんどの人には通じないでしょうけどね。
蛇足をながら説明を加えておくと、世間ではどういう状態をぎっくり腰というかがまったく定義されていません。本人の感覚である日突然腰が痛くなったのをぎっくり腰という傾向がありますが、これは本人が鈍感なだけです。体が日々少しづつ痛んでいるのに気づかず、気がついた時には動けなくなっていましたというだけの事です。体の状態が万全な人が、ある日突然腰の骨がねじれて動けなくなるなんていうのはありえません。
で、
「現状の体は耳鳴りがどうとかいう問題じゃないですよ。」
なんていう説明をするわけです。
ところが、本人は体についての不満というと耳鳴りしか感じていませんから、こんな事を言われても困るわけです。これは駄目だなぁと、例えるなら洋食のレストランにきてハンバーグを食べようとしたら、
「お前はそんなもん食ってては駄目だ寿司を食え。」
みたいな事を言われているわけですからね。
だから、一応はこういう事になっていますよと説明はしますが、こういう時は実際にぎっくり腰になってもらってしばらく寝込んでもらう方がいい事が多いですね。そうしてもらわないと私の見立てが突拍子がなさすぎるのです。
ところが、よほど耳鳴りが辛かったのでしょう。
私の言われたとおりにするしか選択肢がなかったようで、半信半疑ながら継続的に整体を受けにくるといいます。
「こりゃちょっと厄介だな」
と、どうせどっかで我慢できなくなって来なくなるだろうなぁと、そこまで予測はできますが、
「ぎっくり腰やってしばらく寝込むまで来るな。」
なんて言う訳にもいきません。
で、この方の体にどういう問題があるかというと、背骨に打撲が残っていました。
いわゆるムチウチという状態です。学生の頃にラグビーをやっていたそうで、おそらくそのときに強い衝撃を体に受けて、そのダメージが残っているのだろうと思われました。
ムチウチは本人はいつそういう事が起こったのか覚えていないことが珍しくありません。
なぜかというと、強い衝撃をうけたけどそのときには特に異常を感じることがなかったという時に残るケースがほとんどだからです。
骨が折れていたりするとムチウチが残る事はありません。
骨が折れることで力がそこで逃げてくれるからで、折れていたりする方が安心です。実は、ムチウチが原因で病気に発展してしまうことは珍しくなく、命に関わる事もそれほど珍しくありません。内臓の働きに支障がでるのですが、医者だとムチウチを視る力はありませんから、もっとわかりやすい別のなにかの病名をつけられます。だから、私にムチウチ臭いなんて言われた時には、よくよく注意して体を整えておいてもらうほうがいいんですけどね。
交通事故なんかだと記憶に残るのでしょうが、ラグビーの練習や試合の途中でぶつかっても、そんなのがいちいち全部記憶に残るはずがありません。本人はあとに残るような強い衝撃を受けたという記憶がないし、そんな覚えがまったくない事が原因で体に問題が起こっていると言われたって、
「ふーん。」
と、困るしかないわけです。
ここがムチウチの厄介なところでしょうかね。
耳鳴りの相談にこられる方のうち2割ぐらいはこういう打撲が原因でしょうか。
ただ、私がこういう事をブログなんかであまり書かないのは、こういう事を書くと、
「ブログで打撲が原因で耳鳴りが鳴るというのを見まして。私もきっとそれだと思うんです。」
みたいな事をいってくる人が必ずでてくるからです。
こういう事をいってくる人はほぼ間違いなく間違えています。こういう話に飛びついてくるような人は、ほぼ打撲が原因だったら都合のよい人です。自分の不摂生や生活習慣に問題があるのに、
「私が耳鳴りで苦しんでいるのはあのときすべって転んだせいだ。」
と主張してくるのを、それは違うと否定して説得しなくてはならなくなります。
まぁ、これまでの経験でこんな事を言ってくる人が聞く耳をもっていたことはありませんね。自分の都合のよいように物事を解釈して、それを他人で、しかも一応は専門家である私に押しつけてくるような思考をしているわけです。どういう人か想像がつくのじゃないでしょうか?そういえば、今年、怒鳴りつけて追い返した人が一人いましたが、その人もこういう人でした。
で、話を戻します。
ここで私が1つミスをしてしまいます。
打撲が強く残っているのが腰から骨盤にかけてだろうと思い込んでしまった事です。体の様子をみるとぎっくり腰を引き起こすであろう大きな問題が腰椎3番にあったこと、それに伴って骨盤に可動性がなくなっていたこと、その影響をうけて心臓と腎臓の動きに弱りがみられた事などからそういう具合に考えたのです。これは誤った判断ではなかったと思いますが、今振り返って考えると、打撲の影響でこれだけ具合が悪くなっていれば、
「頸椎にも何か問題が起こっている。」
と考えるべきでした。
頸椎の状態は見ていなかったわけではなかったのですが確認が不十分でした。その結果が、4~5回目だったときに言っていた言葉、
「耳鳴りの音は変わらないのですが、耳鳴りの不快感がかなり和らいではきました。」
に非常にわかりやすく表現されていますね。
で、この方、次の予約はなしでしばらく様子をみますということで帰っていったのですが、おそらく次回こられる事はないでしょう。この流れで再び来られるというのは滅多にありませんね。
もしこられなかった場合、私がやったことはぎっくり腰を5~10年ぐらい先送りにしたというだけの事になるでしょう。耳鳴りも多少はやわらいでもまたちょっとしたきっかけで大きな音がなりはじめるはずです。もっと早い段階で頸椎の調整をしっかりとやれていればまた違った結果になったと思えるだけにちょっと悔やまれる訳です。
よくわからんから当てっずっぽうにやってみて、なんかしらけどうまく耳鳴りが止まりましたみたいな事もあるんですけどね。ところが、それとは逆に、ほぼ見通せていてどういう具合に整体して、どういう体の状態になればいいかがわかっているのに、今回のようにうまくいいかないケースもあるわけです。
「4~5回程度で、いちいち私のいうことを疑ってないで、もうちょっと我慢して私のいうとおりにせんかい。」
とも考えてもしまうのですけどね。
ただ、今回のケースに関しては、はっきりいって私の経験不足といえます。
何年か先に、腰の痛みで動けなくなった時に、私の事を思い出してもらえればいいんですけどね。
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