不登校についての考え方
2022年03月31日
「医療は心臓が止まらなければ異常なしとしてしまう。」
不登校という問題はこの事をわかりやすく理解させてくれるかもしれません。
不登校なんて気持ち問題だと大半の人は思うかもしれませんが、私のところには常に数名の不登校の子供が通っています。頭が痛い、朝起きれないなどの理由が大半で、気の利いた事を言う医師であれば起立性調節障害なんていうかもしれません。
そんな事から、体の問題で不登校になっている子供はかなり大勢いると感じています。
ただ、その全容は私のような仕事をしていては把握しようがないのが実際です。珍しくない程度に見かけるというもので、私のところへたどり着いてこられる人の割合がどの程度いるのかわからないからです。
もちろん、総ての不登校が体の問題ではないでしょう。しかし、体が健全、元気に過ごせる状態であればそれだけで不登校の大半はなくなってしまうのではないかと考えています。
今回は、ざくっと二つのケースに分類して考えてみましょう。
1つ目は、学校で辛い事があったというケースです。
不登校になってしまう事の理由に、
「そんな程度で学校へいけなくなってしまうのか?」
と思ってしまうものが少なくありません。
他人からみたらたいしたことがなくても本人とにとっては大問題だったりすることもあるからです。ただ、これはどういう事が起こっているかを簡単に述べるなら、子供がくじけてしまっているのです。もしかしたらくじけるというより、心が折れるとかいった方がピンとくる人が多いかもしれません。
さて、嫌な事、辛いこと、ストレスに対する強さ弱さが個人差がありますけど、それはいったいどこからくるものか考えた事はあるでしょうか?
ほとんどの人は、
「努力や根性が足りない。」
といって、考えるのを辞めてしまう傾向があります。
NHKのドラマでオリンピックの選手が0.1秒差で金メダルを逃したのですけど、その選手に、
「努力が足りない。あと0.1秒努力すれば金だったのにもったいない。」
なんていっているシーンをみかけた事があります。
数値だけをみれば確かに0.1秒ですけど、その0.1秒がとてつもなく大きな溝や山だったりすることもあるのです。
さて、くじけるというのは、運動に置き換えるとわかりやすいかもしれません。
運動能力には個人差があって、グラウンドを3周走れる人もいれば10周以上でも平気で走る事のできる人がいます。この運動能力の差を、体力の差といってそれ以上掘り下げて考えるのを辞めてしまうのですけど、そこをもうちょっと掘り下げてみてください。
運動能力の差が何かというと、単純に心臓と肺の能力、つまり心肺能力の差が運動能力の差だと考えるといいでしょう。心臓と肺の能力が低い人は、グラウンド3周で限界に来るし、強靱な心肺を持っている人はグラウンドを30周以上でも平気で走れる訳です。つまり、くじけるというのは、心肺能力の限界に達した状態、心臓や肺がうまく機能しなくなっているのです。それを心が折れると表現するのは、まさしく文字通りという事と言えるでしょう。
私が松岡修造をいつも例にあげて説明するのは、彼はこの限界の見極めがとても上手だからです。
彼は、3周しか入れない子供に4周走らせて褒める、10周が限界の子供には13周走らせて評価するという事を感覚的にやっています。そうやって限界を越える事で体は丈夫に元気になっていくのです。しかし、この事がわからない人は、
「最近の子供たちは、平均で7周走れるから、走れない奴はダメだ。」
「あと0.1秒努力すれば金メダルだった。」
なんて言って心を折ってしまうのです。
そして、ストレスや逆境に対する強さは心肺機能に依存しています。
ピンとこないようであれば、強靱な人間の事を鉄の心臓をもつとか表現したりしますね。このことから転じて考えをすすめると、不登校になる子供は総じて体が弱い傾向があるという事がわかります。心肺機能は、主に頸椎3、6、7番、胸椎1.2,3,4番が深く関係していますから、このあたりに問題があるのであれば不登校になってしまう可能性が高いといえるでしょう。そして、何より現実に学校にいけないという事で相談にこられる子供たちは皆、心肺機能に問題を抱えています。
2つ目のケースは、1と同様ですけど頸椎3、6、7番、胸椎1.2,3,4番に問題があってそれが頭痛だたったり睡眠に影響がでるまで大きな問題になっているケースです。頸椎6番が狂ってしまうと腎機能に問題がでてくる事があるので、泌尿器に異常がみられる事もあります。世間ではこちらのケースは起立性調節障害と言われることが多く、実際、私のところへ相談にくる子供はほぼすべてがこちらのケースです。ここまで体が悪くなると、
「医者は異常がないと言うけど、なんかおかしい。」
と気がつくようで他の手段や方法を探し始めて私のところへたどり着くようです。
起立性調節障害は、原因がわかっていないとか言われています。
しかし、私に言わせれば心臓、肺、腎臓の働きに問題があって、活発に活動、そして生活ができない状態であるというだけです。
ここで最初に述べた言葉を思い出してください。
「医療は心臓が止まらなければ異常なしとしてしまう。」
私が指摘するのはこういう事です。結果として、生活に支障がでているのはストレスとか原因不明になって謎の問題として扱われてしまっている訳です。
ちょっと補足しておきますが、最近はストレスという言葉が便利使いされてその本質からどんどん離れていってしまっています。現在の医療においては、
『わからない=ストレス』
という公式が成立しています。
もちろんいじめだったり学校の教師がひどい人間で行けないとか、そもそも学校教育に向いていないなじめないなんていう子供もそれなりの数がいるとは思いますけどね。でも、あなたが親で子供が学校にいけてないというのであれば、
「もしかしたら医療ではなわからない体の問題があるのでは?」
と考えてみることは無駄ではないでしょう。当然、そんな状態では、好奇心だったり、向上心を発揮する事すらできません。
子育てについて迷っている人へは、
「子育てとは子供を丈夫な体にしてあげる事です。20歳になったからしっかりしなさいなんていっても体がひ弱なままだったらしっかりする事なんてできませんよ。」
と、いつもアドバイスしています。