年末年始の休みに溜め録りしてあったドラマ「まだ結婚できない男」を見ることにしました。
10月17日の記事で1話だけみて考察してみた記事は
こちら
数ヶ月もあけて2話目以降をみてみたわけですが、ひどい内容になっていました。
放送はもう終わっていますが、もし見ておられた方がいたのでしたらこのあたり、具体的には2~6話で見るのを辞めてしまった人もいるのじゃないでしょうか。
単純なコメディドラマとしてだけみるのであれば、それなりに楽しめる内容ではあったかもしれません。でも、このドラマはあの結婚できない男の続編ですから私の期待値はもっと上です。
ダメだったところを上げてみると、
・桑野信介のキャラがぶれてタダの痛い男になっている
・桑野が指揮棒をもって指揮をするシーンがない
・桑野が食事をするシーンがない
一般の人から見ると奇矯だけど、桑野にとっては当たり前だというシーンはこのドラマにおいてもっとも重要なシーンです。ところが、2~6話では、桑野信介が鎌倉でお金を洗うシーンが1つあるというだけで、他にはまったくありませんでした。
また、桑野信介が言うはずがないセリフが延々と並んでいました。
阿部寛は1話できっちり役作りをやっていましたから、このセリフのブレにはかなり困ったのではないかと思われます。
このドラマの女性たちは、主人公に対して
「気持ちや考えはちょっと理解はできるのだけど、この人と結婚するとなるとちょっとね。」
というような微妙な心の動きを、1話では面白おかしく表現していました。
ところが、2~6話は、
「女性の気持ちに対する配慮や気づかいが全くできないダメな男を女性たちがあざ笑う。」
という内容になってしまっていました。
男性が草食化して頼りなくなったせいで結婚相手を見つけられないとぼやいている女性に、媚びを売る内容になり下がってしまったとでもいうところでしょうかね。
このドラマにおいて何がもっとも面白いのかを理解しない人間が雑な干渉をしてきて制作現場をぐちゃぐちゃに荒らしていったのでしょうか。
普通に考えるのであれば1話とそれ以降の体制に変化があったのは明らかであろうと思われます。
セリフとストーリから考えると、脚本を書いている人が変わっている可能性が高いと思えます。ただ、テレビのドラマって監督や脚本家の情報があまり表に出てこないので、何が起こっているのかが今ひとつわかりにくいのですけどね。
あるいは、1~6話まで収録した時点で、
「これではダメだと。」
監督がそんな事を言い出したのかもしれません。
それでてこ入れをしようとしたのだけど、制作スケジュールを考えるといろいろ直すわけにもいかないので、
「それじゃ1話だけでもしっかりやり直そう。」
とそんな事が起こったのかもしれません。
ただ、そう考えると1つ辻褄が合わなくなります。
1話では桑野信介の対極の存在としての立ち位置だった森山桜子という女性の立ち位置です。2話以降、出番が極端に減って、5話あたりからちらほらでてきて7話で桑野信介の仕事のパートナーである村上英治の結婚相手になっていました。村上が彼女と結婚するのは8話です。
桑野の真逆の存在であることを前回の記事で指摘しました。
その真逆の立ち位置は変わっていませんが、西にいたのがいつの間にか東側にいたみたいな変更をしてきましたね。その分、弁護士の吉山まどかがもともと森山がいたポジションにじわじわと寄っていきました。
1話であれだけしっかりキャラ立てをやっていたのに、こんだけキャラの立ち位置をいじってくるというのはかなり珍しいと思います。先ほど述べたとおり、制作陣のなかでかなり喧々諤々の何が起こっていたんじゃないでしょうか?ちなみに、これを書いている1月10日で私は8話まで見ましたので残り2話です。2話以降の崩壊ぶりからいってもうダメだなと思っていたのが、7~8話で建て直してきたでラストはちゃんとまとまっていそうな気配です。
さて、年末年始はずっとこのドラマ「まだ結婚できない男」の事ばかり考えて過ごしていました。
それでふと思ったのですが、私は体の状態をみる、つまり自律神経の状態を読む時も同じような見方をしていますね。セリフがぶれたり、ストーリ展開にスムーズさを欠いているなぁと思った時には、
「どうしてこういう脚本になったのか?」
という見方をします。
その原因は、監督がへぼなのか、脚本家の実力がたりないのか、役者の演技がダメなので妥協してこうなったのか、それともスポンサーが横槍を入れて改変したのか?なんて事を考えるわけです。
「面白くないのは脚本がダメだからだ。」
なんていう考えで、宮藤官九郎や三谷幸喜を起用すれば面白くなるというほどドラマは単純な物ではありません。面白いドラマを作ろうと思えば、監督、脚本、役者、その他様々なスタッフが一丸となって取り組むからいいものができるわけで、この監督がいれば全てがうまくいくなんて事はありません。制作スタッフがそれぞれの役割を自覚しつつ協力するから面白いドラマができあがるのです。
「面白いドラマができないのは、チームワークが悪いからだ!」
そりゃまぁ確かにそうですけどね。
チームワークを高めましょうと大きな声で訴えていれば皆が共感して一致団結するというほど人間は単純じゃありません。
この考えをそのまま体に置き換えて考えてみればいいのです。
めまいがするから、耳鳴りがするから、体が辛いから、それは自律神経の問題だみたいな発想はあまりにも短絡的ではあります。しかし、
「元気がでない、体の調子が悪いのは自律神経の働きが悪いからだ。」
と、ここまではよしとしましょう。
でも、自律神経の働きというのは、チームワークみたいにとらえどころのないものですからね。もうちょっと俯瞰して考えないと適切な対処というのはなかなか難しいわけです。