ブログ「日々整体」

筋膜ストレッチの科学:柔軟性を根本から理解する

前回の記事(整体師の視点: 筋トレが柔軟性に与える影響とその対策)で、体の柔軟性を高めるためにどのようにストレッチに至ったのかという流れについてまとめました。ストレッチという言葉を知らない人はいないでしょうが、言葉は知っているけどストレッチがどういうものなのかについて、本質的な部分を掘り下げて考えたことのある人などほとんどいないことでしょう。ストレッチとは単純に筋肉を伸ばせばよいというだけのものなのか、今回はストレッチについて掘りさげてみたいと思います。

なお、ストレッチについては「ストレッチトゥウイン」という書籍を大きく参考にしています。その記述なかで特に印象に残ったことが2点あります。

1つ目は、人間の体はセンテグリティ構造でバランスを保っているということです。
このことは正直にいって驚きました。当院にこられた人であれば見たことがあると思うのですが、当院の本棚の上に、このセンテグリティ構造で倒立しているレゴが置いてあります。

「人間の体はこのような構造でバランスをとっているのですよ。」

ということを説明するために置いてあるのですが、スポーツ科学においても同じ結論に達しているということを今回はじめて知りました。


医学ではよく、腰には大きな負担がかかっている。
あるいは、膝の痛みを和らげるために筋トレをして筋力をあげなさい、ということをよく言われています。しかし、整体師である私は「その考え方では腰痛や膝痛は解消できない。」とずっと指摘してきています。ただ、そのことをストレートに伝えてもほとんどの人はそのことが理解できません。そこで、体のバランスの取り方をレゴの構造で具体的に見てもらうために置いてあります。

今日の社会では、

「筋肉に対する考えは科学的な部分を完全に無視して信仰にまで至っている。」

そのように私は感じていたぐらいです。それが科学分野でも私と同じ考えに至っていたのですから、正直にいって、強い味方を得たような気持ちになりました。

なお、このことは運動経験が豊富にある人ほどすぐに気がついて理解できるようです。
一方、運動が苦手な人はほぼ納得できない傾向が顕著です。実際に話をしていて「そのような考えをしているから上達できない、だからこの人は運動が苦手なのだろうな。」と思うこともよくあります。

もう1つは、「ストレッチは筋肉ではなく筋膜を伸ばす。」ということです。
ストレッチとは筋肉を伸ばして柔軟性を高めるものと私自身も考えていました。ある意味誤りではないのですが、この考えでストレッチに取り組んでも柔軟性を高めるという目的には成果は上がりません。さらには、筋肉を伸ばすという意図でストレッチを行うと身体能力の低下も引き起こしてしまうだろうと考えています。実際、ストレッチに取り組むと運動能力が下がってしまうという論文があったり、丁寧にストレッチをすればするほど怪我ばかりするようになったというスポーツマンが実際にいるのはこういうことが理由なのでしょう。

※参考論文と書籍
40~60秒のストレッチは運動パフォーマンスを下げる傾向がある
著者は日本記録もだしたことがある陸上競技選手だったが丁寧にストレッチをすればするほど怪我に悩むようになったと語っています。


さて、筋膜が何かを説明します。
筋膜とは、体を効率的に動かすためにゴムのベルトが体中に数枚張り巡らされていると考えるとよいでしょう。いくつかの薄い筋肉の集合体があると考えてもらうとよいかもしれません。

私自身が整体において意識していた筋膜は2つあります。
のど辺りからお腹にかけてあるものですが、この筋膜の動きに不都合が生じると動悸を起こす人が多いようだと考えていました。この筋膜は、主に心肺機能に大きく関わっているようで関わる主な臓器は心臓、肺、それに横隔膜のようです。ただ、肺や横隔膜の動きを自覚するのは難しいので、自覚できるのは心臓の鼓動のリズムが崩れたときというのが圧倒的に多いようです。

なお、この筋膜は解剖することで視覚的に捉えることができるようです。身体研究者である、藤本靖という人が「身体のホームポジション」という書籍で数行このことに触れていました。読んでおくと筋膜について理解しやすいかもしれませんので、興味が沸いた方は合わせて読んでみるとよいでしょう。

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「身体のホームポジション」

もう1つは股関節の動きに関係のある筋膜です。
股関節の可動範囲を大きくすることで内臓全般の働きを改善するようだということには随分前に気がついていました。それで以前に股関節の動きを改善するにはどうしたらよいのかと考えたことがあったのですが、うまくいかずいままで放置になっていました。

股関節の筋膜はもしかしたら、先に挙げた心肺機能に関係がある筋膜と同じ物かもしれません。
つまり、人間の体の前面には、のどから太ももにかけて大きな筋膜が1枚貼り付いていると考える方が正解ということです。私は体の中に2つあると考えたいた筋膜は実は1つの筋膜だったかもしれないと知って驚かされました。

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ストレッチトゥウインの筋膜の解説図

さて、効率的にストレッチを行うにはどうすればよいのかということについてです。
柔軟性を高めて健康な生活をおくれる体になるためには、この筋膜が柔らかく伸びる、あるいは拡がるということを目的に行うのがよいようだというのが現在の私の考えです。ストレッチをする際には必ずといっていいほど、

「伸びる筋肉を意識する。」

ということを言われるはずです。
しかし、筋膜が伸びるのを意識することでより適切なストレッチができるのではないかと考えているのです。

次回の記事では、筋膜ストレッチにさらに具体的に掘り下げることにします。
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整体師の視点: 筋トレが柔軟性に与える影響とその対策

昨年の春頃からスポーツジムに通ってマシンを使った筋トレをやっていました。
整体師である私はマシンを使った効率的な筋トレにはずっと否定的な考えをもっていました。マシンを動かすことに長じても生活面においては全くメリットがないと考えるからです。ただ、忙しい合間を縫って短時間で運動ができるというのはやはり魅力であったので試しに取り組んでみたのです。すると先月つまり2024年1月に、体の柔軟性がひどく失われていることに気がつきました。

私が目標とするのは、日々快活に生活できる体です。
そのためにはある程度の柔軟性が不可欠です。その理由は今回の主題からは逸れるので別の記事https://jiritsuseitai.net/blog/detail/20240216195349/)にて紹介しています。今回、私が試したマシンを使った運動は私には不向きであるという結論は出せたといえます。ただ、失った柔軟性は元に戻したいと思いますので、どうやればいいかとう点を現在掘りさげて考えています。まだ取り組み始めて1ヶ月程度ですが、現時点での柔軟性を得るための手法と考え方についてまとめてみようと思います。毎日ストレッチすれば体は柔らかくなるという程度にしか考えていない人には参考になることもあるかと思います。

私が柔軟性を向上させるために調べた結果、たどり着いたワードは、張力トレーニング、ヨガそしてストレッチでした。このなかで最初に取り組んだのは張力トレーニングですが、このトレーニングは単純な筋力トレーニングではなく体の張力を活用するというものでした。50歳以上の年齢の人間にとってより適切な体づくりを目指すということで、書籍を購入してさっそく実践してみようと思ったのですが、すぐに行き詰まりました。なぜかというと、文書での説明ではその張力トレーニングの意図や本質がまったく掴めなかったのです。書籍には写真でどのような動きや形を目指すのかは図示されていたのですが、試してみてもまったくピンとくるものがありませんでした。こういう場合、実際に指導者にレクチャーを受けるのがよいのですが、そのような機会はなかったようです。

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多くの人は知識があればすぐさま実践できると考えてしまう傾向があるのは日々の整体の実践の中で感じています。しかし、運動というのは頭の中で理解することと、実践することとは全く違うものです。具体的にいうのであれば野球に詳しくなれば野球が上手になるというということではないということです。運動に関する情報取得でこのようなことがあるのはよくあることですので今回は張力トレーニングには見送ることにしました。

次にヨガの本を手にとってみました。
こちらは始めるにあたってのハードルは低いのですが、実践してみても何かしらの手応えのようなものを感じることができませんでした。私自身はヨガについてはある程度の知識はありますが、やはり序盤は道場やスクールのようなところへいってある程度のレクチャーを受けた方がよいというのを感じました。それで近辺で探してみたのですが、すべて男性お断りだったので諦めました。

それで最後に残ったのがストレッチです。
「ストレッチは体によい。」と安易に考えている人が多いのですが、実はは適切な方法で行わなければ逆に体を痛めてしまうものです。ですから「ストレッチをすればいいですか?」などと聞かれても難しいから辞めおいた方がいいという返事をしていました。ただ、他の選択肢が潰れてしまったのでこれは本格的にストレッチについて掘りさげるよい機会かもしれないと思い勉強をしてみることにしました。

それでスポーツ科学の分野でストレッチに関するいくつかの論文をあたってみました。
すると、以下のようなことがおぼろげにわかってきます。

・筋トレで筋肉の量を増やすことに主眼を置いていると体の柔軟性は失われる
・ストレッチをすると運動能力が下がり、怪我の確率も上がるという論文があり様々な記事などで頻繁に取り上げられるが、ストレッチの有効性とデメリットを語るのはこの論文だけでは不十分であるらしい。
・筋肉と体の柔軟性は対立する関係があり、柔軟性を高めすぎると運動能力が下がる可能性がある。
・柔軟性を高めすぎて腰痛に悩むようになったなんていう話も・・・。

このような情報を踏まえて考えると、1つの考えが浮かんできます。

「コアトレーニングとストレッチを組み合わせて体づくりを考えるのがよいのかもしれない。」

ということです。
コアトレーニングがなにかを簡単に説明すると、体の力を中心に集めるための力のまとまりとでもいうのでしょうか。ちょっと違うかもしれませんが、コアというのを丹田と捉えて「丹田に力を集める。」とするとなんとなくピンとくる人が多いのではないでしょうか。また、コアトレーニングというのは、最初にあげた張力トレーニングがそれにあたると思うのですが、日々の整体指導がコアトレーニングになっているはずなので私の場合はあまり考える必要がないかと思えます。

このような考えに沿って書籍を探していたら、以下の本を見つけました。

strechtowin.jpgのサムネイル画像


まだ途中までしか読めていないのですが、たぶん、私にとってはこれが正解のような気がしています。簡単に内容を紹介しておくと、スポーツを行う上で体の柔軟性にはどのように向き合っていくのがよいのかというものです。今後は、この内容に沿って実践に落とし込んでゆこうと考えてますので、成果があがればその中身をまた紹介しようと考えています。

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