パフォーマンス向上の鍵:楽しみながらのプレーと顎の力を抜く秘訣
2023年11月10日
「楽しみながらプレーすることができました。」
なんらかの成果をあげたスポーツ選手がこんなことをいっているのを聞いたことがあるでしょう。
ただ、多くの人はこの言葉の意味を額面通りに受け取ってしまっていると考えています。なぜかというと、身体的に高いパフォーマンスを発揮するためには楽しむことはそれほど重要ではないからです。
このように考えるのは私が古武道の経験があるからでしょう。
真剣を使って藁を切る稽古をしたのことがあるのですが、真剣は楽しみながら扱うようなものではありません。しかし、身体のパフォーマンスを十分に発揮できなくては真剣をうまく扱うことなどできないことをはっきりと自覚することができました。
また、もし楽しむことが必ず結果に繋がるのであれば、好きなことに取り組んだ人は必ず満足のゆく成果や結果を得ることになります。しかし、現実は一部の選手がそうであることはあっても、すべの選手がそうではありません。例えば、水泳選手だった北島康介氏はオリンピックで金メダルを獲得したときのコメントが、
「超気持ちいい。」
だったということを多くの人が知っていることでしょう。
私はこのコメントは、絶対に金メダルを取るという意志、周囲からもそれを期待されるプレッシャーを乗り越えたんだという達成感が現れていると感じました。決して楽しんで泳いでいたとはいえない状態での競技だったのではないでしょうか。つまり、スポーツにおいて楽しむということは成果を上げる、あるいは一定以上のパフォーマンスを上げるための一つの方法ではあるけれど、楽しんだからといって必ず成果があがる訳ではないということです。
最近では、思うような結果を得られなかったけど、
「楽しめたから。」
だから、結果は重要ではないと、言い訳として使われているのを見かけることもあるように思います。しかし、先の述べたとおり楽しむということは間違いのないノウハウの1つであることも確かではあります。
そこで、楽しむということを言い訳にしない、本当の楽しみ方について説明しようと思います。
人が楽しんでいるときには、どのような表情になるでしょうか?
答えは簡単で、人は楽しんでいる時に笑みが浮かびます。ただ、表情は人それぞれで、文字通り微笑んでいることもあるでしょう。一方で周囲から見たらなんの感情も感じ取れない無表情であるということもあるかもしれません。楽しんでいるからといって必ずしも笑みを浮かんでくる訳ではありません。
この微笑みについて整体の知識から逆に考えてみれば良いのです。
人が笑みを浮かべるときというのは、実はあごの力が抜けている状態です。ですから、あごの力が抜けていれば微笑んでいる状態になりますし、その状態であれば楽しんでいる状態であるということが言えます。この論法では、笑みというのは心の状態が現れるものだから、体の状態は関係ないのではないと思う人もいるかもしれません。しかし、整体的に考えれば体の状態は心理状態に完全に繋がっているものだということがいえます。なぜなら、顎の力が抜けるということは体の中心に力が集まる、つまり自然と丹田に力が集中して人間がもっとも力を発揮できる状態になるからです。
具体的なスポーツ選手を二名ほどあげてみましょう。
まず、NBAのバスケットボール選手だったマイケル・ジョーダンはよい例でしょう。彼はスーパープレイを披露するときには必ず舌を口から出して伸ばすのです。口を開けているのですから、顎の力は抜けているのは言うまでもありません。試しに舌を口から出して伸ばしてみてください、横隔膜が動くのわかる人もいるかもしれません。その状態がいわゆる体の余計な力が抜けた状態だと知っておくといいことがあるかもしれません。
もう一人は、プロテニスプレイヤーのピート・サンプラスです。
彼は、プレーの合間に顎をよく動かして、ニヤつくような表情を頻繁にしていました。女性のテニスファンからはしまりのない顔だと評されているのを聞いたことがあります。高いパフォーマンを発揮するために体の力を抜くためのテクニックなのですが、わかっていない人が見たら顔から緊張感がなくなりますから間抜けな顔に映ることもあるようです。
スポーツ選手が
「肩の力を抜け。」
と言われているのを聞いたことがある人も多いでしょう。
肩の力を抜くというのを、整体的に説明すると頸椎6番の力を抜くということになります。そして、頸椎6番の力が抜けると顎の力も同時に抜けます。だから、楽しむことで肩の力が抜け高いパフォーマンスが発揮できるようになることもまた間違いではありません。
究極の言い方をしてしまうと、
「顎の力さえ抜けていれば楽しむ必要などない。」
ということがいえます。
試しに、口を開いて体を動かしてみるとよいでしょう。もしかしたら普段とは違う動きになることをすぐに実感できるかもしれません。その実感が得られれば、楽しむことを意識するより、顎の力を抜く方が効率的に能力を発揮できることもあるでしょう。
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