ブログ「日々整体」

"自由意志"は本当に子供にとって最良の選択なのか?

ある日、よく知らない人間に批判されました。

息子の進路についての発言に対して、

「そんなことは親のあんたが決めることでなく、子供が自身の判断で決めることだろが。」

という指摘をされて、少し気分を害しました。
言われることは全くその通りのことなのですけど、

「そんなことはオタクに言われるまでもなくわかっている。」

と言い返したいところでしたが、黙ることにしました。
私は、自分自身が物事に対して他人とは異なった視点で見ていることが多いのです、だから、こういう意見に対してまともに返事をしてもコミュニケーションは成立しないことを知っています。私にとってこのような出来事は珍しくないのです。

自主性は単なるトレンドでしかない

自主性を大切に、子供の意思を尊重してという考えは単なるトレンドです。
このような考えは、大昔からあった人類の唯一絶対の正義ではなく、むしろつい最近になって生まれてきたものです。私の感覚からすると、ここ30~40年間で主流になってきたものですね。

この思想の変化のわかりやすい事例をあげるなら結婚がそうでしょう。
私の子供の頃は、見合いで結婚しましたという人を珍しくない程度に見かけた記憶があります。むしろ恋愛結婚したという人の方が珍しかったぐらいかもしれません。それが、恋愛をして本当に好きな人と結婚するのが幸福だという考えが主流になりました。我が家では、休日に「新婚さんいらっしゃい。」という新婚さんが登場してトークするテレビ番組をみるのが日常でしたから、この変化を生で実感したように思います。

内閣府が発表しているデータをみると

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婚姻数は1973年をピークに右肩下がりの傾向が顕著です。
1990~2000年ごろに多少上向きがありますが、これはネットバブルと呼ばれる時期ではないでしょうか。なお、この表の意地悪なところは2019年までしか表示されていないところで、昨年の結婚数は50万件と、表示されている部分より大きく減少しています。

この減少の原因が、自身の主体性で婚姻するようになったことであると結論づけるのはちょっと短絡すぎでしょう。しかし、かつての日本では婚姻率が99%、ほぼ全員が結婚していたことを考えると少なくない影響があると考えるべきではないでしょうか。



こういうことを踏まえて、息子の進路についてすべて本人の考えと意思に任せてしまってよいのかというと違う、むしろダメだろうというのが私の考えです。自由意志による結婚が一般的になってしまった結果、未婚率が増えたのです。これを息子が成人した時の状況に置き換えると、自身で稼いで自立した生活を営むことができない、ということを意味するからです。

子供の自主性に完全に任せられない理由

ほかにも理由はいくつかあります。
そのなかで最も大きなものは、10年後の世界の様子が全く想像がつかないという一点です。

AIが実用化されていて、その能力が人間の知能を近々超えるかもしれません。
この地点をシンギュラリティポイントというのですけど、この言葉を聞いたことがある人も少なくないことでしょう。その場合、これまで高給取りであった頭脳労働者、つまりホワイトカラーが職を失う可能性が高いと言われています。実際、米ではその傾向がすでに表面化してきているという話も伝わってきています。

また、世界中で20から30代の若者は高齢者たちに搾取されているという意識が非常に強いようです。日本での健康保険や年金の扱いと同様のことが世界で起こっているというとわかりやすいでしょうか。

そのような意識が強い若者は、様々な名称で呼ばれています。
韓国ではMZ世代、中国ではタンピン、米国ではDoomer(ドゥーマー)、日本ではニートです。フランスでは、「犠牲にされた世代」と呼ばれ政治活動にまで発展したこともあります。

若者たちは搾取されていると感じているのです。
それ故に、将来に夢や希望が持てなくなっているのだと思います。おそらく大半の高齢者たちは悪意をもって若者に接してはいないでしょう。しかし、少なくない若者の現実は、毎月15~20万円程度の所得しか得られず、その所得が増える見込みが全く感じられない状態です。

先に述べた通り、大学で苦労して身につけた教養も役に立ちません。
その教養で取り組む仕事はAIにすでに奪われ始めているのです。少し前から奨学金を返済できなくて破産する若者のニュースを頻繁に聞くようになりました。奨学金の返済については、米国ではかなり深刻で、大統領選を左右する可能性もある問題として捉えられています。

このような世界の状況で、

「お前の好きなように生きていきなさい。」

というのはあまりにも無責任です。
未来に対して希望をもって、なにかに取り組むことができるようなガイドラインを示してあげなければいけないと思うのです。

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