ほこ×たてという番組がありました。
やらせがあったということで打ち切りになってしまった番組ですが、コンセプトは非常に面白いものでした。その中で、
パフォーマーvs番犬
というものがありました。
パントマイムの第一人者といわれるような人が、すぐに吠える番犬に気がつずに行動できるか?みたいな内容でした。
「犬の知覚力がどういうものか?」
という事についてわかっていない人からみると、興味深いかもしれませんが、結果は予想通り一瞬で犬に気づかれていました。
犬の嗅覚は人間の数千~数万倍といわれています。ですから、いくら優秀なパントマイム芸人でも匂いですぐにバレてしまいます。おそらく光のまったくない真っ暗闇であっても同じような結果になったのではないかと思います。
ちなみに、犬の視覚も人間より優秀で、1秒に30回のフレームを表示するテレビの映像では、カクカクのスローモーションのように感じるようです。ストップモーションアニメなどを見たことがあるひとは、私達がスムーズにみえる映像でも犬にはテレビがそのように見えていると考えてもらうとよいでしょう。
鼻っから勝ち目のない勝負を挑まされたパフォーマーが気の毒だったといわざるをえません。補足しておきますがこのパフォーマはダンサーとしては日本ではトップレベルの人です。
さて、このパフォーマーですが、
「体をねじることで体のゆれやブレをなくすことができる。」
と、面白いことをいっていました。
実は、正月があけてから整体に来られている方の大半は体がねじれていました。
1月1、2日と冷え込んで大雪になったのは覚えているでしょう。そのせいで、肩を冷やして体の調子を悪くしている人が比較的多かったのです。
人は体が弱った時に背骨をねじって踏ん張るという性質があります。
正月明けからねじれている人は、体が冷えてまっすぐにたってられなくなったので背骨をねじって立つようになっているのです。
背骨を捻ることによって踏ん張りが強くなり無理が聞くようになります。
体を冷やした状態のまま仕事をはじめた方が、仕事で踏ん張るために背骨がねじれてきたのです。そんな人は、紙に字を書いたら右肩あがりになったり、パソコンのモニターをすこし斜めにみたり、座ったときに足を組むようになったりしているはずです。
最近、
「背中がねじれているのでまっすぐになりませんか?」
と相談がありました。
みるとずいぶん古くからねじれていたので、
「随分前に重い病気をしたことがあるのではないですか?」
と聞くと、30年ほど前に肺に穴があいて入院していた事があるということでした。そこで、
「このねじれはおそらくその時にものですね。弱ってしまった体を支えるために背骨がねじれたのです。いまはもこの状態でしっかり固まっているので、このねじれをまっすぐにすると逆に病気になりますよ。」
と説明しました。
ねじれというのは、その時に整体すればまっすぐになりますが、その状態で固まってしまうとまっすぐにするとかえって体を壊してしまいます。また、ねじれた状態で固まってしまった場合、それが原因で体を壊すような事はありませんからまっすぐにする必要もありません。
まっすぐで整っているのがいいというのは安易な考えです。
大層な言い方になりますが、その人の人生に歴史というのがあるように、背骨にも歴史があります。その歴史を無視して体を整えるというのでは駄目なのです。