整体師の目から見た生と死
2023年11月28日
整体師である私には全く理解できない考えなのですが、
「損をするぐらいなら不健康な方がよい。」
という人が一定の割合で存在しています。
もちろん必要以上にお金をかける必要はありません。しかし、
「生きてさえいればそれでよい。」
と考えている人の考えは私には全く理解できません。
私からすると、人生(生とも言えますが。)は可能な限り充実させて死ぬときに、
「いい人生だったな。」
とふり返ることができるような生き方と死に方をしたいと考えています。これまで整体師として、一番驚いた方は、私に対して、
「もうすぐ死んでしまうのでしょうか?」
と質問してきた方です。
整体師は健康な人、そうでない不健康な人に日常的に触れる仕事です。
そういった経験を積み重ねていくことで身についた特技だと思いますが、余命がある程度わかることがあります。生きる力のない体は体から精気が漏れている、あるいは生命力がないとでもいうのでしょうか、体に触れたとき弾力がなくなって弱々しく感じるのです。当然ですが、整体師であれば、医者の検査で問題がなくても、体の変化を指摘することができます。人間は生物ですから、生きる力が残っていない人は体になんらかの形で観察できるのです。だから、もうダメだと思った人はたいていその数ヶ月に亡くなったと聞かされます。
それで、もうすぐ死んでしまうのですかと質問してきた人には、すぐに死ぬような状態ではないとアドバイスをしたのです。
すると、
「よかった!」
と満面の笑みを浮かべていました。
ただ、自律神経の状態はお世辞にもいいとは言えませんから、具体的にどのようにすればよいかの話をつづけようとしたら、
「生きてさえいればいいんです。」
と言い切るので、それで話が終わってしまいました。
ずいぶん前の話ですが、今でもこの人のことを考えて振り返ることがあります。
もしかしたら、私のように考えられるようになるためにはある一定レベル以上の元気さが必要で、そのレベルにまで達していなかったのかもしれません。それとも、死なない程度の健康状態であることがその人にとって最も幸福な状態であることもあるのかもしれません。
生き方はそれぞれですから、その考えは尊重したいと思いますが、私としてはもったいない生き方だと思ってしまいます。
現代の人々は完全に死生観をなくしてしまっていると感じています。
だから、ほとんどの人は、死なないようにすることが生きるということだと考えてしまっているように思えます。だから、生きるということはどういうことなのかを年に1回ぐらいは考え直してみることをおすすめします。生き方についての感じ方、考え方は年をとるにつれて変化するものです。だから、年に1回ぐらいは自身を振り返ってみるとよいでしょう。自分の感覚や感性が変化することに気がつけるのもまた生きていく上での楽しみの一つだと思います。
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