眠りは長さではなく質が大事
眠りは健康のバロメータです。
健康な体を維持するためには眠りは非常に大切なものです。
「よく、何時間寝たらいいですか?」
と質問する方がいますが、そんな方は、1日8時間寝ないといけないなどと思い込んでいるようです。しかし、眠りにおいて大切なのは長さではなく深さです。
ですから、まずは
10時間眠っても駄目な眠りもあれば、4時間程度で十分なことももある。
このことを理解する必要があるでしょう。
「いくら眠ってもひたすら眠い 。」
「10分居眠りしただけなのにすごくすっきりした。」
そんな経験は誰にでもあるのではないでしょうか。
良い眠りができたかどうかをj判断するのは簡単です。
よい眠りができれば、疲れがとれてスッキリと起きることができます。
「疲れがとれているか? 」
「寝起きはよいか?」
というような事がわからない人などいません。
自分の体にちょっときいてみれば良い眠りができたかどうかなどすぐにわかるのです。まれに、それすわからないという人がいますが、そんな方はかなり深刻に体を悪くしていると考えるとよいでしょう。自分の体がいまどういう状態かわからないぐらい感覚が鈍くなっているのです。
眠りについてはまず長さではなくまず質、深さなのです。
その上で、体がどのような状態になった時に眠れなくなるのか?を考える必要があります。
不眠の原因と整体
不眠の原因ですが、単なる食べ過ぎ、飲み過ぎといった問題から、何十年も飲み続けてきた不眠用の薬が効かなくなってきたというような深刻なものまであります。ほかでは、昔の怪我、日常的に飲んでいる薬の副作用などなど、様々なケースがあります。そのため不眠症状に関してはこうすればよいというような整体を紹介するのが難しいというのが正直なところです。
ただ、基本的な考え方は、交感神経と副交感神経の両方の働きを高めてあげるということです。
最近は、なんでもかんでもストレスのせいにして、交感神経の緊張が強くなりすぎて体の調子をくずしていると説明されることが多いため、交感神経の働きをたかめないとダメだとというとびっくりする人も多いでしょう。
自律神経というのは単純なバランスで考えるとうまく整いません。
元気な人がどんな生活しているか考えてみてください。
「よく働き、よく遊び、よく食べて、よく休む。」
交感神経、副交感神経がともに高いレベルで働いている状態なのです。
不眠・睡眠に関わる骨は体中にあります。
中でも特に関係が深いのは、
後頭骨、腰椎1番、腰椎3番、仙椎、足首
などです。
自律神経のバランスを整えるとともに、こういった部分の骨の調整をします。
長く眠りすぎると自律神経の働きが悪くなります
最もよい眠りは短時間で深く眠る眠りです。
深い眠りができていれば睡眠は4~6時間で十分です。7時間以上は眠りすぎだと考えるとよいでしょう。こんな事をいうと、
「1日7~8時間、週で50時間以上眠るように言われている。」
という人がいますが、そんなに眠っていると自律神経の働きが悪くなってきます。
特に影響が多いのが頭の働きでしょう。眠り過ぎると頭の回転が悪くなってきます。ひどくなると頭がぼっーとしてくるようになります。
眠りすぎている人は頭がうっ血しています。
うっ血というのは、血がたまってぶよぶよしている状態です。頭がそんな状態では、やる気、意欲がわかなかったり、物忘れがひどくなります。心当たりのある方は、まず眠り過ぎを疑ってみるとよいでしょう。
また、人は年をとるにつれて睡眠時間が短くなっていく傾向があります。
お年寄りの朝が早いのはそのせいです。激しい運動や、重労働をしなくなる傾向もありますから、疲れをためないようにもなってきます。それなのに、
「健康で長生きするためんは1日8時間眠らねばならない。」
と思い込んでしまっています。
食事に置き換えて考えてください。
体を動かした後は、お腹が空いてたくさん食べたくなりますし、汗をかいたら水分が欲しくなります。でも、必要なのは腹八分目です。食べ過ぎたり、飲み過ぎたらら体が辛くなってきます。
また、ろくに体を動かさないで、一日テレビをみて生活しているような人ならばお腹はすきません。手持ち無沙汰で食べたくなるだけです。そんな事をしていれば体は悪くなってきます。
眠りだって同じです。
体が疲れたり、病気や異常があったりすると、人は眠りで自分の体を治療します。疲れがひどければ長時間の眠りが必要ですし、病気や怪我で何日も寝こむこともあります。でも、疲れがなく体が元気だったら眠りは必要ありません。眠れば眠るほど元気で健康になるわけではないのです。
眠りは体の欲求に合わせる事が大切
人間の体は眠りが必要になると眠たくなります。
ですから、眠くなったら眠る、目が覚めたら起きるという考え方で問題ありません。体の状態に合わせて睡眠をとるようにすればよいのです。でも、こんな事をいうと、
「夜と昼が逆転してしまう。」
「昼過ぎまで寝てしまう。」
と考えてしまう人がいます。そんな人たちには、
「どうして駄目なのですか?」
と質問するようにしています。
多くの人は、朝起きて、夜眠ることが健康につながると考えていますが、考え方が逆です。
健康な人だから、朝目が覚めて、夜眠くなるのです。
眠りが悪くなっている人がまず考えるのは、自律神経のバランスを整えることです。
ですから、昼間でも疲れて眠たくなれば眠ればよいですし、夜でも眠たくなければ起きていてかまいません。
確かに昼寝のしすぎは体を悪くします。また、私自身もいくら睡眠時間が足りていても、午前2~3時の間は眠っていないとその日は1日調子が悪くなりる傾向があります。多くの方もそうではないでしょうか?しかし、一時的なものならば問題ありません。
なぜなら、自律神経の働きが整ってくれば、朝目が覚めて、夜眠くなるようになります。
人間の体はそういう風にできているからです。問題なのは、眠くないのに眠るという行為です。これもまた眠るを食べるに置き換えると簡単に理解できます。食べたくないのに食べ続けると体を悪くして食べれなくなってきます。眠りも同じで、無理に眠っていると眠れなくなってくるのです。
難しいのは、夜眠れないけど昼間は仕事があるという人でしょうか。
ケースバイケースなので、どのような方法をとるかは、仕事内容も踏まえて考えなければいけませんが、
「無理矢理眠るのを辞める。」
というのは基本的な考え方になってきます。
眠りは歩いたり走ったりする運動を同じと考える
実は、眠りというのは歩いたり走ったりする運動と全く同じです。
歩く時に、
「まず右足をだして、次に左足をだして、手をこう、肩をこう、腰は・・・。」
と頭で考えて体を動かすような人はいません。
でも、近所のコンビニに行こうと考えたら体は勝手に歩いてくれますし、急いでいる場合は走ってもくれます。眠りもまったく同じで、寝ようと思って横になれば眠れます。
不眠というのは、これができなくなっている状態ということです。
ですから、
『怪我をして足が弱って歩けなくなった人はどうするか?』
と考えればみれば、眠れるようになるにはどうすればよいのか?ということがすぐにわかります。
足が弱って歩けなくなったら、足を動かして歩く練習をします。
眠れなくなったのであれば、眠る練習をすればよいのです。なんの練習もなしで、いきなり眠れるようにはなりません。
車いすで生活している人が、
「歩けるようになったら歩くよ。」
といっていたらどう思うでしょうか?
眠れない日が2~3日もつづけば、体が辛いのは当たり前です。
でも、歩く練習をすればいずれ歩けるようになるように、眠る練習をしてゆけば必ず眠れるようになります。
眠りと自律神経の関係
「眠りというのは、副交感神経の働きだからリラックスすればよく眠れる。」
多くの方はそう考えているかもしれません。
残念ながら、少し違います。テストの解答としてなら、40点ぐらいのものでしょう。なぜなら交感神経の働きが悪くなっても眠りが浅く、質が悪くなるからです。
『春眠暁を覚えず』という言葉あります。
解釈はさまざまですが、自律神経の事をしっているとこのような解釈ができます。
春は交感神経の働きが悪くなってくる時期です。
いい眠リというのは、スッキリ起きる事だということは先に説明したとおりです。いくら眠っても、交感神経の働きが悪くすっきりと起きれないので寝すぎてしまうのです。これが『春眠暁を覚えず』の整体的解釈です。
ここで踏まえて欲しいのは、交感神経の働きが悪くなっても眠りの質が低下するということです。
不眠の方の自律神経の状態をみると、ほとんどの方は交感神経の働きも悪くなっています。
だから、
「リラックスしましょう。」
「深呼吸しましょう。」
「ストレスを解消しましょう。」
という方法では深く眠れるようにならないのです。眠るというのは起きるという行動とワンセットなければいけません。
わかりにくいと思うので、もう少し突っ込んで眠るということを考えてみましょう。
「寝付く」と「眠る」を別々に考えるのです。
寝付く、つまり寝はじめるというのは主に副交感神経の働きです。ですから、リラックスして深呼吸して、人によっては薬を飲むことで寝付くことができるようになります。でも、それだけでは深く眠れません。
薬で無理矢理に眠ったりすると、半分起きているような感覚の眠りになったり、何度もトイレに目が覚めるということになっていませんでしょうか?
おそらくは、交感神経の働きが悪いと、レム睡眠とノンレム睡眠という2つの眠りのサイクルがうまくいかないのだろうと思います。これは論ではなく、経験からそうだろうと判断してるものではあります。
ただ、眠れない人の自律神経の状態をみると、交感神経、副交感神経の両方の働きが悪いのです。
交感神経の働きを高めたら、
「ぐっすり眠れました。」
と感想をもらうことも少なくありません。
『眠り=副交感神経』
というのは嘘ではありません。
しかし、深く眠るということを考えた時には、交感神経の働きも重要になってくるということです。