物事を前向きに考える方法
2022年12月22日
「物事を前向きに考えなくてはいけない。」 どこででも聞くアドバイスです。 私も20代のころにこの考えに取り憑かれた事がありましたが、30代になったらダメだと考えるようになりました。なぜかというと、臭い物にふたをするためにこの言葉を使っている人が多いという事に気がついたからです。 さて、英語の勉強をはじめて4ヶ月ほど経っています。 それなりの英語力にはまだまだ時間がかかりそうですが、勉強していて気がついた事があります。それは自分の思考が使う言語によって大きく影響を受けるという事です。これは受験のために英語を勉強していたときにはまったく気がつきませんでしたね。でも、会話をするための勉強をしていると、そういう事がなんとなく肌で感じられます。例えば、英語でなにかを表現するときは日本語の時より1.5割増しぐらいで誇張して表現しないとうまく相手に伝わらないように思います。 それで、最初の 「物事を前向きに考えなくてはいけない。」 というのもおそらく英語話者の発想だという事もなんとなくわかってきます。 太宰治が書いた手紙を読んだ事があるのですけど、現代に生きる私が読むと稚拙な内容になっていると感じました。その手紙には、 「私はその賞が欲しい、賞がもらえれば私は元気になります、活気がでます、・・・。」 なんていう言葉が書き連ねてありました。 これは芥川賞だったかなにかの賞の審査員に宛てた手紙です。どうも彼が生きていた頃には物事を前向きに考えるという言葉や思考がなかったようだというのがわかります。 「物事を前向きに考えなくてはいけない。」 を英語で表現すると、 Look at the bright side.(明るい面を見てみて、探してみて) といった具合になります。より直接的に表現するなら、 Think positively. (ポジティブに考えてみよう。) です。 これが、日本語に置き換わった時に、 You have to tihink positively.(物事を前向きに考えなくてはいけない。) に変わってしまったのです。 Look at the bright side. Think positively. という表現がすでに、日本語の感覚からすると1.5割増しに誇張されたと考えてちょうどよいのです。おそらく英語ネイティブからすると、ちょっとだけでも良い面を探してみよう、どうす ればいいかヒントを見つけようというぐらいのニュアンスな訳ですね。have to は 『遅刻をしてはいけない。』 『約束は守らなくてはいけない』 『人を殺してはいけない』 といった強いルールや規則を表現するフレーズなのだというと、言いたいことは伝わるでしょうか。 このように変化してしまうのは、我々が日本語を使っているからだと思うわけです。 平たくいうと、日本語で考えていると、あらゆる事が「ねばならない。」というルールに変化しまうという事です。日本語の表現はあいまいでわかりにくいと外国人によく指摘されていますけど、日本語が数多くのルールや前提があるから成立する言語なのではないかと思うのです。そして、それらのルールを理解していなければ何を言っているのかわからなくなってしまうという事でもあります。 このことは、体と健康についても同様です。 日本人は皆、 「死んではいけない。」 という思考、思想に偏ってしまっているように思います。 いつか必ず死はやってくるのですから、死んではいけないというはとんでもない矛盾なのです。これもなるべく長生きしたいよねぐらいのニュアンスだったのが、日本語の特性のせいでいつの間にか変化してきたのではないでしょうか。その結果、寝たきりになったり、認知症になったりしている訳ですけど、そんな生き方を本当に望んでいるのかをよく考え直してみた方がよいと思うのです。 さて、物事をポジティブに考える方法です。 これはとても簡単で、英語で考えばよいだけです。日本語で考えると、それは必ずねばならないに繋がってしまって、自分を縛りつける鎖を増やしてしまう事になります。 ただ、英語は習得に時間がかかりますから、はじめの一歩としては、前向きに考えるではなくて、太宰治のように、 「どうすれば自分は元気になるのか?」 と、考えるのがいいのじゃないかと思います。 外来的な思考や思想が混じっていない日本語で考えてみるのは今の我々には不可能だと思えます。 いずれ翻訳機も普及するだろうと思いますが、細かなニュアンスを理解するのはまだまだ何十年とかかかるでしょう。それよりは英語のコミュニケーションを身につけて、掘り下げてちゃんと考えた方がよいなと今は思います。
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